知的障がいや発達障がいのある子どもをもつ保護者は、子どもを連れて外出する際、大声を出したりパニックを起こしたりして周囲の人に迷惑をかけてしまわないかと、常に神経をすり減らしております。
それ故に、子どもと一緒に外で余暇を楽しむという事はハードルが高く、子どもの好きなアニメの映画ですら躊躇してしまいます。
私たちはそのような子どもと保護者が、気兼ねなく映画が観られるように映画館を貸切にして、劇場内の照明の明るさや音の大きさ、上映前に放映される予告のカットなど、配慮のある映画上映会を実施してきました。
活動の中で私たちは、ある一人の若い女性に出会いました。彼女は自身が持つ障がいに悩み、苦しみ、引きこもりがちでしたが、この活動を知り『スタッフとして』参加したいと声をかけてくれたのです。スタッフとして参加していく内に、彼女自身が前向きに明るくなり、物事への意欲が向上していくのが伝わってきました。
「働く」「仕事をする」ということが、誰かの役に立てて嬉しいと実感でき、それが自分の自信へと繋がっていくのだという事を、私たちは彼女の姿から学びました。同時にまだまだ力になれることがあるのではないかと強く感じました。
彼女のように、悩み苦しみながら自分に出来ることを模索している人、また、活動に参加する人たちのように余暇の充実を望む人は多いのです。
その為にも、障がい者の持つ「個性」を生かした就労の手助けや、余暇の充実に向けた提案、障がい児・者の保護者たちが孤立してしまわないように、地域社会と繋がることのできる「場」が必要なのだと考えるに至りました。
このような経緯から、余暇支援の活動だけに留まらず就労支援などの働く場の提供や生活の支援など、事業として活動の範囲を広げるために法人格が必要になりました。
障がい児・者とその家族が「仕事」も「余暇」も楽しみ、社会との関わりを深め心身ともに豊かに暮らせるようにするため、特定非営利活動法人の設立を決意しました。
理事長 荒井 通江